生活衛生
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乳酸菌のプロトプラスト形成における細胞溶菌酵素の影響
桑名 好恵北野 雅昭中垣 剛典森下 日出旗
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1987 年 31 巻 2 号 p. 90-100

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抄録

乳酸桿菌の Lactobacillus jugurti OSI-1と乳酸球菌の Streptococcus lactis OSI-1, 81及び Streptococcus cremorfs OSI-1, 18を用いて, 3種の細胞壁溶解酵素 lysozyme, N-acetylmuramidase SG, achromopeptidase とα-amylase によるプロトプラスト形成を, 濃度と処理時間について検討し, 次のことが明らかとなった。
桿菌のL. jugurti OSI-1の場合, 酵素の単独使用においてN-acetylmuramidase SGが低濃度, 短時間で, 最もプロトプラスト形成に効果的であった。lysozyme は効果が弱く, 最大濃度でも54%に留まった。achromopeptidase もかなりよい結果をもたらした。一方, lysozyme に他の酵素を添加して調べてみると, α-amylase を除いて他の2種の酵素が効果的であった。
球菌のS. lactis OSI-1, 81, S. cremoris OSI-1, 18においては, 単独酵素では achromopeptidase が最も効果的で, 次いでN-acetylmuramidase SGであった。lysozyme は Lactobacillus と同様で効果が低いが, α-amyiase を共存させると効果が相乗的に増大した。他の2種の酵素, N-acetylmuramidase SG, achromopeptidase についても同様であった。
これらのことから, 乳酸菌において, 浸透圧調節物質としてのMgCl2・6H2Oと sucrose を添加したTHMS buffer を酵素処理溶液として使用すると, 細胞溶菌酵素は, 低濃度(1μg/ml), 短時間 (30分) で, 容易にプロトプラストを形成することが可能であることが判明した。

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