乳酸桿菌の
Lactobacillus jugurti OSI-1と, 乳酸球菌の
Streptococcus lactis OSI-1, 81及び
Streptococcus cremoris OSI-1, 18を用いて, 3種の細胞壁溶解酵素の, lysozyme, N-acetylmuramidase SG. achromopeptidase による溶菌作用を調べ, 次のことが明らかとなった。
L. jugurti OSI-1において, 酵素の溶菌効果は, N-acetylmuramidare SG>achromopeptidase>lysozyme の順であり, S. lactis OSI-1, 81及びS. cremoris OSI-1, 18の溶菌効果は, achromopeptidase>N-acetylmuramidase SG>lysozyme の順になった。この中で, 特にN-acetylmuramidare SGと achromopeptidemse は低濃度(1~5μg/m
l)で, 効果的であった。lysozyme は, 溶菌作用が弱かった。一方, これらの酵素とα-amylase を, それぞれ lysozyme と共存させた時,
Lactobacillusの場合, achromopeptidase が促進効果を示し, α-amylase は効果を示さなかった。しかし,
S. lactis OSI-1,81及び
S. cremoris OSI-1, 18においては, α-amylase の添加促進効果が著しいことが, 確認された。このことから,
Lactobacillus と
Streptococcus は細胞壁の構造上, 若干の差異のあることが, 酵素の溶菌反応よりうかがえた。これらの酵素による溶菌作用は, 3mM MgCl
2・6H
2Oと0.58M sucrose の存在により阻止された。以上のことより, これらの溶菌酵素により, プロトプラストの形成を行なうことが可能であることが明らかになった。
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