日本生気象学会雑誌
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原著
人工炭酸泉浴が関節可動域と筋の弾性に与える影響
水野 貴正中野 匡隆松本 実松本 孝朗梅村 義久
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2011 年 48 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

本研究の目的は人工炭酸泉浴が筋の弾性に影響を与えるかどうか腓腹筋内側頭において明らかにする事とした.被験者は男性 10 名であった.始めに足関節の受動背屈中の測定として,足関節を底屈位から最大背屈位まで 1°/s の速度で受動的に背屈させながら,受動トルク,足関節角度,腓腹筋の EMG,腓腹筋内側頭の筋腱移行部伸長量を測定した.その後,人工炭酸泉(CO2≥1,000 ppm,36℃)に右脚下腿を 5 分間入浴,または 5 分間の空気中座位安静を,それぞれ日を変えて行い,再び受動背屈測定を行った.空気中座位安静と比較して,人工炭酸泉入浴後,背屈 0°,5°,10° における筋伸長量,受動トルクに有意な差はなかった.また,背屈 0°~5° 及び,背屈 5°~10° の間の筋伸長量―受動トルク曲線の傾きにも有意な差はなかった.一方で,足関節の最大背屈角度は増加した(p<0.05).以上の結果から,炭酸泉入浴により筋の弾性は変化しないが,足関節背屈角度が増加することが明らかとなった.

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© 2011 日本生気象学会
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