日本生気象学会雑誌
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原著
家事作業時の暑さ感と防暑行為に関する調査研究
―名古屋市近郊に立地する一戸建て既存住宅の場合―
松原 小夜子高田 直美松原 早紀
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キーワード: 住まい, 生活, 夏期, 防暑, 家事作業
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2012 年 49 巻 1 号 p. 11-21

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抄録

日常生活における自然な方法による防暑の工夫と各種家事作業時の防暑行為との関係を分析した結果,以下の知見が得られた.1)防暑の工夫を 3 段階に類型化した.「工夫高」では,くつろぎ時の冷房利用は少なく,「工夫低」では多かった.2)家事作業時の冷房利用は,くつろぎ時に比べると少なく,家事作業の特性を反映した結果となった.3)家事作業時に「暑さで困る」との回答は多く,困る家事は,「調理」「掃除機かけ」「アイロンかけ」であった.「掃除全体」では,「調理」を上回った.4)代謝が高く,必要換気量も多く,住まい全体に広がる家事作業の性質上,冷房すれば快適性が得られるとは限らず,自然な方法による防暑行為が必要であることがわかった.「工夫高」の人は,家事においても「窓開放」をはじめとする様々な防暑行為を取り入れているが,「工夫低」の人は,「窓開放」か「冷房」かの二者択一の傾向があった.5)「工夫低」「工夫中」の人も,自然な方法を用いた,日常生活における防暑の工夫や家事作業時の防暑行為によって,家事作業時の暑さ感を緩和できる可能性があると考察できる.

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© 2012 日本生気象学会
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