日本生気象学会雑誌
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総説
紅葉の季節学
松本 太
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2013 年 49 巻 4 号 p. 141-148

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抄録

紅(黄)葉は秋の関心事であると同時に,その変化は温暖化など気候変化のバロメーターである.本稿ではイチョウ,イロハカエデの紅(黄)葉のメカニズムや気象的要因,および近年の気候変化と紅葉との関係を概説した.
まず紅葉の化学的なメカニズムを述べ,イロハカエデの紅葉(クロロフィル減少)に低温の積算が関係していることを示した.そして紅(黄)葉日と地球温暖化や都市の昇温との関係を述べた.イチョウの黄葉日は同一地域内での地点差や個体差が大きく,発芽の遅速など生理的要因の関与が示唆された.一方イロハカエデの紅葉日は地点差や個体差が小さく,気候の影響を反映すると推察された.よって紅(黄)葉日を評価する際には,樹種によるメカニズムや,気候への反応の違いを考慮に入れる必要がある.

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© 2013 日本生気象学会
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