2022 年 58 巻 3-4 号 p. 45-49
食欲についてはこれまでに多くの研究がなされ,末梢のエネルギー状態を感知し摂取量を制御するホルモンである.レプチンおよびグレリンという食欲制御ホルモンの発見以降,エネルギー代謝との関係については徐々に解明されてきた.哺乳類は体温を一定に保つため,環境温度が低温になると熱産生量を増加させエネルギー消費が亢進される.そのため哺乳類にとって,環境温度の変化に伴い摂食を制御することは非常に重要である.生育温度や明暗条件などの環境条件は食欲だけでなく,嗜好性にも影響を及ぼすことが明らかになりつつある.今回は,これまで明らかになってきた環境条件が導く食欲,および食嗜好制御について述べる.