日本生気象学会雑誌
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総説
東京都における高齢者の熱中症発生に関する地域的特徴
松本 太
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2022 年 59 巻 3-4 号 p. 67-77

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抄録

本報では,2010年~2015年の東京都における高齢者の熱中症発生と気候的要因との関係を評価した.高齢者は,暑熱に対して脆弱で,熱中症が重症化する傾向がみられた.また,高齢者の熱中症は日常生活時における発生が多く,居住地域の気候環境に影響を受けている可能性が高い.2010年,2011年,2015年では,高齢者の熱中症発生率が相対的に都区部で高く,多摩部市町村で低い傾向がみられ,日最高WBGTの積算値との相関が日最高気温の場合より高かった.都区の湾岸部では,内陸部に比べ日最高気温が低いが,日最高WBGTが近く,高齢者の熱中症発生率は明確な差のない場合がある.東京都における高齢者の熱中症発生の気候的要因として,WBGTが都心で高い,蒸暑アイランドというべき現象の関与が示唆された.

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