日本生気象学会雑誌
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男子対暑対寒反応の日周変動
緑川 知子
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1981 年 18 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
体温調節反応の日周変動を明らかにするため, 健康な男子大学生を対象に体温上昇期ならびに下降期に寒冷・暑熱暴露をそれぞれ冬季・夏季に行い, 熱平衡の面から体温調節系の作用様式に検討を加えた。得られた結果は以下の通りである。
1.熱産生量は, 寒冷環境において冬季の体温上昇期で増大が認められた。暑熱環境におけるそれは, 冬季・夏季にかかわらず体温上昇・下降期ともほぼ一定値を示した。
2.寒冷環境でのふるえは冬季に体温上昇期における増大が著明で, 熱産生増大にふるえが関与していたと考えられる。
3.熱放散量は, 寒冷環境では冬季・夏季とも体温上昇期と下降期の間に違いは認められなかったが, 冬季に比して夏季の方が高い値を示した。暑熱環境での発汗量は体温上昇期に比して下降期に大で, 特にこの傾向は夏季に著明であった。
4.貯熱量は寒冷環境においては体温上昇期に比して下降期に大きな負の値を示し, また, 冬季に比して夏季に大であった。暑熱環境でのそれは体温上昇期の方が下降期に比して大で, この傾向は特に夏季に著明に認められた。
5.測定1時間における体温日周変動のための熱産生・熱放散を補正すると, 冬季・夏季の場合とも体温上昇期と下降期の間に, 対暑対寒反応そのものの差は認められなかった。
6.直腸温に対する発汗量の関係は, 体温上昇期と下降期で発汗発現閾値直腸温の変動が, また, 冬季と夏季の間では汗量に大きな違いが観察された。
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