日本生気象学会雑誌
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周期的温度外乱によるラットの体温調節系の動的特性および加齢の影響
浅木 恭
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1985 年 22 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

環境温 (Ta) を正弦波状 (周期1時間) に変動させ, 無拘束なラットの直腸温 (Tr) , 尾部皮膚温 (Ts) を測定した.測定した温度データは周波数解析して, Tr, Taの2時間の平均値 (Tr, Ta) ; Tr, Ts, Taの周期1時間の成分の振幅 (△Tr, △Ts, △Ta) ; TrとTaの間の位相差 (θr) を求めた.△Taは2.5~14℃, Taは5~35℃の範囲で設定し, 直腸温変動率 (△Tr/△Ta) , 皮膚温変動率 (△Ts/△Ta) における△Ta依存性, Ta依存性およびTr, θrにおけるTa依存性を加齢の影響を含めて検討した.
1.Ta (10℃, 20℃, 30℃) が同じであるならば, △Tr/△Taは△Taが5~10℃の範囲では同じ値を示した.
2.Ta (10℃, 20℃, 30℃) が同じであるならば, △Ts/△Taは実験を行ったdTa範囲では同じ値を得た.
3.若齢群の△Tr/△Taは5~25℃のTaの範囲では0.019~0.032の値を示し, 30℃, 35℃のTaでは急激に増加し, 0.065~0.12の値を示した.
4.若齢群の△Ts/△TaはTa (10~30℃) の増加に伴って増加し, Ta35℃では30℃のときより減少した.
5.加齢による影響では, 低温環境 (10℃) で老齢群の方が△Tr/△Taの増加, rの低下, θrの減少を示し, △Ts/△Taが大きい傾向を示し, 低温環境での調節能の低下を示唆した.

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