日本生気象学会雑誌
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生気象学的にみたわが国のインフルエンザ流行の実態について 第2報
薩田 清明
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1989 年 26 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

インフルエンザの流行を生気象学的に解明するために1982~1985年の3回の冬の流行について, 関東地方を中心に全国15都道府県のインフルエンザ患者発生数のピーク時期と10月から3月の6か月間の月別の平均気温, 平均相対湿度, 平均水蒸気圧との関係について検討した.
インフルエンザ患者発生のピークは関東地方と大阪, 島根, 福岡など西日本では月平均相対湿度の低い月にあり, 逆に北海道, 新潟, 長野など北日本では相対湿度の高い月にあった.北日本の1月, 2月は雪の降る日が多く, 相対湿度は高いが, この地方では気温が低く, 強力な暖房をしているために家屋内では相対湿度が低下していると思われる.もし, そうであれば, どの地域でも屋内の相対湿度の低い条件がインフルエンザの流行に都合のよい生気象学的状態であることが推論される.
月別平均気温と月別平均水蒸気圧の変動には地域差も年次差も認められず, 1月または2月がもっとも低く, 10月がもっとも高く, 患者発生時期との間に関係が認められなかった.

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