日本生気象学会雑誌
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局所加温によって起こる足皮膚血流量の減少
永坂 鉄夫平田 耕造
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1989 年 26 巻 2 号 p. 91-96

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抄録

夏期, 35℃-40% (r.h.) の環境で, 温水浸漬による足加温により足指, 足蹠の皮膚血流量 (BF) が減少することを確認する目的でこの研究を行った.皮膚BFの測定は2種類のレーザードップラー血流計 (ADVANCE ALF-2100とPeriFlux Pf-1d) によった.健康成人男子の足を35℃の水温 (Tw) に保った水槽中に浸漬し, 安定を得た後10分間隔で2℃ずつ, 43℃までTwを上昇させ, 全経過中の当該皮膚BFを測定した.皮膚の比較的深部の血管―おそらくAVAも含む―の血流量を主として記録しうるALF-2100プローブでは, Twの上昇につれてBFは減少したが, 浅部毛細管のBFを記録するPf-ldプローブでは, Twの上昇につれてBFは連続して増加した.足の無毛部皮膚で見られる温熱血管収縮は手指, 手掌の場合と同じく, 深部のAVAを主体とした血管の収縮であることが確認出来た.このAVA収縮は, Twが新しく高い温度にセットされた直後から数分間, いわゆる皮膚の温度感覚のうち動的反応に相関して起きやすかった.一部の被験者では繰り返し温水浸漬でAVA収縮の程度の減少する場合もあった.

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