日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
Print ISSN : 0389-1313
ISSN-L : 0389-1313
寒冷期の日照時間と自殺の季節変動量―北海道の (1950-57) の調査から―
江頭 和道阿部 和彦
著者情報
キーワード: 自殺, 季節, 日照
ジャーナル フリー

1990 年 27 巻 1 号 p. 3-7

詳細
抄録

自殺の季節変動に影響を及ぼす気象学的要因の一つとして日照時間に注目し, 自殺の季節変動の程度を表わす「季節変動量」との相関を調べた.対象資料は1950-57年の北海道の自殺統計である.寒冷期 (11, 12, 1, 2月) の自殺が年間全自殺に占める割合と自殺の季節変動量との間に有意の負の相関 (r=-0.90, p<0.01) , また, 前者と寒冷期の日照時間との間に正の関係 (r=0.42, N.S.) , そして寒冷期の日照時間と自殺の季節変動量との間に有意の負の相関 (r=-0.68, p<0.1) を認めた.寒冷期の日照時間の増加が, 元来は少ない同時期の自殺を増加させ, その結果自殺の季節変動量が減少すると解釈される.気温については自殺の季節変動量との相関を認めなかった.著者らの一連の研究結果と合わせて自殺の季節変動を考察し, 季節変動パターンの年代推移, 経済発展や夏と冬の日照時間との関係などについて言及した.

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top