日本生気象学会雑誌
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胎児期環境の季節性と体質・気質
三浦 悌二
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1992 年 29 巻 Special 号 p. 1-6

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抄録

生まれ月により, 疾患の罹患率, 正常の生理現象, 行動の決定などに違いが見られ, 胎児期に受けた環境の影響が生涯続いて, いわゆる体質や気質の形成に関与していることが示唆された.医学部の卒業生で, 30年後の生存率を見ると, 1910―1923年生まれの世代では夏生まれの者で生存率が低かった.老人施設入居者で75歳からの生存率でも, 男では同じ傾向があった.これは成人病の死亡率に生まれ月による差があるためと思われる.肺結核の死亡退院者の割合, 若年性慢性関節リウマチの罹患率は女で高く, かつ生まれ月での違いが大きい.こうした体質には, 胎児期の環境が強く影響していると思われる.夫婦の生まれ月と血液型には平均以上の一致が見られた.献血者, 那覇マラソンの参加者の割合には生まれ月によって対照人口とは偏りがあった.行動の決定に関する気質の形成にも生まれ月が関係していることが示唆された.将来の気候変動は胎児期の環境を変化させて, 人類の体質や気質に変化を及ぼす可能性がある.

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