日本生気象学会雑誌
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高温環境下の姿勢変換による顔面の発汗量と皮膚血流量
田辺 実平下 政美平井 敦夫永坂 鉄夫
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1994 年 31 巻 1 号 p. 37-44

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抄録
健康な成人男子を被験者とし, 40℃-50% (rh) の恒常高温環境下で, 傾斜台上に固定した椅子に座った状態で, その体位を垂直位 (椅座) から水平位 (仰向け) , さらに垂直位へと姿勢変換し, その時の前額の皮膚温と血流量, 発汗量, 鼓膜温と食道温, 平均皮膚温, 心拍数, 血圧をそれぞれ比較した.各姿勢はそれぞれ20分間保持したが, この間深部体温はわずかであるが上昇した.垂直位に較べ水平位では, 前額の発汗量は減少, 皮膚血流量は増加, 皮膚温は上昇した.平均皮膚温の変化も同様であった.水平位では食道温, 鼓膜温とも下降した.心拍数は水平位で減少したが, 血圧には姿勢変化による影響は見られなかった.別の研究で報告した仰臥位の被験者で選択的脳冷却の効率が悪かったのは, 導出静脈を経由して頭蓋内に流入する静脈血流量の減少以外に, 背部の皮膚が圧迫されるために生ずる圧反射性の頭部の発汗の抑制, それによる頭部の皮膚静脈の冷却力の低下が原因の一つであることが推測された.
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