2009 年 16 巻 1 号 p. 11-15
本報では,食品添加物に指定されたSACEWの低いpHを有効に利用する方法として,収穫から流通,低温保存におけるゴボウの品質について,pH調整剤として食品添加物に指定されているクエン酸と褐変防止効果および,菌数の推移を比較した.その結果,SACEWを用いて浸漬洗浄した場合,白さの指標であるL^*とa^*では,表面・断面で4〜8日までクエン酸処理区より白さが強い傾向が見られたが,クエン酸区とSACEW区で統計的に有意差が得られたのは,表面の2日目(L^*,a^*,b^*)までと断面a^*,b^*の2日目までであった.色差ΔEに換算してクエン酸区とSACEW区を比較したところ,各区には有意な差が得られなかったことから,クエン酸とSACEWの.褐変防止効果は同等であると考えられる.また,SACEWで浸漬処理した場合には,初発菌数を2桁低く抑えることができるので,腐食の面からもSACEWを用いることが望ましいと言える.