農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
平均穂数近似株の選定による水稲の稈長および節間長の測定法
伊田 黎之輔
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 19 巻 3 号 p. 81-88

詳細
抄録

本研究では5斜線刈取りによる水稲収量簡易速決診断法の一環として,収量査定株の選定用に供する平均1株穂数群の全株を除去した後,平均1株穂数±1の穂数株群から稈長測定株1株を選別して,稈長・節間長を測定する方法を考案した.全穂数株群に対する平均1株穂数±1の穂数株群の最長稈長の平均偏差は小さく,標本としての問題はみられなかった.稈長測定株の最長稈長および平均稈長は試験区(母集団)における最長稈長を一定の精度で推定可能な指標であった.しかし,稈を構成する各節間の伸長パターンは稈の生育型による違いが生じる可能性があるため,最長稈の節間長のみではなく,全稈の節間長を測定して平均節間長として示した方が測定法上勝ると考えられた.すなわち,本測定法は稈長測定株1株の全稈について2mm以上の伸長節間を0.1cm単位で測定し,各節間長の平均値を平均節間長としてこれらの合計を平均稈長として表示するものである.年次,品種を異にしても平均稈長の母分布は例外なく正規性を示し,各節間長の大半においても母分布の正規性が認められた.

著者関連情報
© 2012 農業生産技術管理学会
次の記事
feedback
Top