農業生産技術管理学会誌
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履帯茶園作業機械の踏圧が茶樹に及ぼす影響
松山 康甫松久保 哲矢
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2012 年 19 巻 3 号 p. 95-102

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抄録

茶園うね間土壌は肥培管理上最も重要な土壌でありながら,作業路としても使用されている.そのため,現在も踏圧軽減の工夫がなされている.大重量の機械を導入する場合の踏圧への影響を明らかにするために人工土層及び茶園において実験を行なった.その結果,以下のことが明らかとなった.人工土層において土圧変換器を用いた測定によって人間の歩行でも下層に圧力が伝わることを示した.茶園うね間のように同じ場所を走行すると履帯区で第2層(地下20cm)まで,軽量車輪区で第4層(地下40cm)まで踏圧による圧縮がみられた.土壌硬度は轍中心より横に履帯区では10cm,軽量車輪区では20cm以上で高くなることが分かった.圃場実験での土壌硬度についてみると,履帯区は第1層(0〜10cm)では21mmと高い区が見られ,2層(10〜20cm)では19mm以下であった.車輪区は軽量車輪区で23mm,重量車輪区で26mmであった.更に重量車輪区は3層(地下30cm)まで,高い踏圧が見られ固相率も3層(地下30cm)まで高くなっていた.収量は,重量車輪区を除き履帯区及び軽量車輪区が歩行区と同じか,それ以上の収量であった.供試した鹿児島県薩摩半島の火山灰土壌では,車両重量7〜8kN(≒700〜800kg)の走行装置が履帯であれば,適度な踏圧により収量が向上する効果が得られた.

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© 2012 農業生産技術管理学会
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