農業生産技術管理学会誌
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保蔵時の低濃度O_2かつ高濃度CO_2環境が未熟果および完熟果カットピーマンのアスコルビン酸残存率,Brix値および硬度に及ぼす影響
鈴木 悠介石川 恵子塩見 慎次郎山本 奈美Lam VAN MAN小川 幸春
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2013 年 20 巻 2 号 p. 53-58

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抄録

細断処理されたカットピーマン果実(品種:シグナル)保蔵時の品質変化に対するガス環境の効果を検討するため,CO_2置換によって低O_2濃度に調節したガス環境中で熟度の異なるカットピーマンを保蔵し,L-AsA残存率,Brix値および硬度の変化を調査,検討した.その結果,以下のことが明らかとなった.1)未熟果のL-AsAはControlよりも減少する傾向を示した一方,完熟果のL-AsAは低O_2濃度環境で100%もしくはそれ以上の割合として保持された.なお本研究で設定したO_2濃度の範囲では,熟度に関わらずO_2濃度によるL-AsA残存率変化の差異は確認されなかった.2)Brix値の測定結果もL-AsA残存率と同様の変化傾向を示したことから,低O_2環境下の完熟果では呼吸が抑制されたと考えられた.一方,未熟果が低O_2濃度環境で示したL-AsA残存率およびBrix値の低下傾向については,炭酸ガス障害に関係する現象であると類推された.3)いずれの熟度でも低O_2濃度環境では軟化の抑制効果が示されたが,ガス濃度の違いによる顕著な硬度変化の差異は確認されなかった.

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© 2013 農業生産技術管理学会
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