農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
20 巻, 2 号
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  • 垣内 仁, 上地 由朗
    原稿種別: 本文
    2013 年 20 巻 2 号 p. 35-43
    発行日: 2013/09/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    ダイズに対するリン酸葉面施肥の影響を明らかにするため,圃場およびポットで実験を行った.葉面施肥にはリン酸二水素ナトリウム・二水和物(NaH_2PO_4・2H_2O)の500倍(リン濃度397 mg L^<-1>)もしくは1000倍液(リン濃度199 mg L^<-1>)を用い,2010年の圃場実験は4回,2011年は12回,ポット実験は29回の葉面施肥を行った.圃場実験はサチユタカ,ポット実験はLee(Lee(+))とその根粒非着生型同質遺伝子系統(Lee(-))を供試した.その結果,圃場実験ではリンの葉面施肥はリン吸収量や収量,子実成分には影響を及ぼさなかった.一方,ポット実験では葉面施肥で両系統ともリン酸吸収量,乾物および子実生産量が増加した.Lee(+)では葉面施肥区で根粒数が増加し,ダイズの窒素含有量も多くなったが,Lee(-)では葉面施肥区で子実の窒素含有率が低くなった.以上より,少なくとも土壌中リン酸量が不足している条件下ではリン酸の葉面施肥は根粒による窒素固定を介さない場合も乾物生産や収量に影響を及ぼすこと,そのため窒素供給量が不足する条件下でのリンの葉面施肥は子実の窒素含有率つまりはタンパク含有率を低下させると結論付けられた.しかし,圃場条件では葉面施肥の効果が定かではなく,さらに検討が必要と考えられた.
  • 福山 豊, 小林 一, 糸原 義人, 松村 一善
    原稿種別: 本文
    2013 年 20 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2013/09/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    近年,直売所では農産物の品目や数量の安定的な確保が課題となっている.そこで,本稿では,直売所における主力品目を担う出荷会員の出荷行動の特徴を明らかにし,主力品目における出荷会員の組織化について検討した.分析結果によれば,T農協管内では直売所の集荷形態からみると,農協等の直売所運営主体と出荷会員の両者において事前の生産・出荷情報が把握できていないため,品揃えが安定していないと考えられる.直売所の品目に注目すると,各直売所において共通の品目が主力品目となっていることが確認された.そして,直接出荷の集荷方法を採用する直売所では,これらの品目については,直売所近郊の出荷会員の占める量が高い割合を占めている.これらの出荷会員において,主力品目当たり販売高に対し,1ヶ月当たり販売量と販売期間,もしくは単価が影響していることが明らかになった.また,品目選択の集中や立地条件に応じた出荷調整は実施されていない.これらのことから,直売所での品揃え強化のためには,運営主体が情報収集機能を有すること,出荷会員の出荷行動に応じた組織化を選択することが有効であると考えられ,組織化に向けた具体的方策について提起した.
  • 鈴木 悠介, 石川 恵子, 塩見 慎次郎, 山本 奈美, Lam VAN MAN, 小川 幸春
    原稿種別: 本文
    2013 年 20 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2013/09/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    細断処理されたカットピーマン果実(品種:シグナル)保蔵時の品質変化に対するガス環境の効果を検討するため,CO_2置換によって低O_2濃度に調節したガス環境中で熟度の異なるカットピーマンを保蔵し,L-AsA残存率,Brix値および硬度の変化を調査,検討した.その結果,以下のことが明らかとなった.1)未熟果のL-AsAはControlよりも減少する傾向を示した一方,完熟果のL-AsAは低O_2濃度環境で100%もしくはそれ以上の割合として保持された.なお本研究で設定したO_2濃度の範囲では,熟度に関わらずO_2濃度によるL-AsA残存率変化の差異は確認されなかった.2)Brix値の測定結果もL-AsA残存率と同様の変化傾向を示したことから,低O_2環境下の完熟果では呼吸が抑制されたと考えられた.一方,未熟果が低O_2濃度環境で示したL-AsA残存率およびBrix値の低下傾向については,炭酸ガス障害に関係する現象であると類推された.3)いずれの熟度でも低O_2濃度環境では軟化の抑制効果が示されたが,ガス濃度の違いによる顕著な硬度変化の差異は確認されなかった.
  • 奈良 伸, 野中 勝利, 札埜 高志
    原稿種別: 本文
    2013 年 20 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2013/09/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    間欠ミストと傾斜型ベンチとを組み合わせた新規栽培システムで切り花用アンスリウムを栽培し,株の定植位置が採花本数および切り花品質に及ぼす影響を調査した.傾斜型ベンチで上下2段に株を定植した2段区および上中下3段に株を定植した3段区を設けた.単位面積および株あたりの採花本数は段数および段差の影響を受けなかった.切り花長および苞葉の大きさは段数および段差間で有意差がみられた.夏季に上段の株から収穫した切り花の品質は低かった.切り花品質のばらつきは2段区よりも3段区で顕著であった.
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