農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
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浸漬処理を用いた高カルシウム含量水耕レタスの生産について
井上 興一近藤 悟真部 孝明横田 弘司
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1996 年 3 巻 2 号 p. 1-7

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抄録

水耕で栽培したレタスの根を種々の濃度を変えたCaCl_2およびCa(NO_3)_2の高濃度単一溶液に48時間浸し,葉部におけるCaおよびClあるいはNO_3の増加の有無を検討した。外葉および内葉のCa含有率は,処理溶液のCa濃度の増加に伴い増加し,この増加したCaの大部分は水溶性Caであった。葉部Ca含有率は,CaCl_2処理区においてCl含有率との間に,Ca(NO_3)_2処理区においてはNO_3含有率との間に1%レベルで有意の相関が認められた。硝酸カルシウムの処理は葉部Ca含量の増加に伴い,多量のNO_3も集積するので,本浸漬処理には不適当と判断された。また,処理液のCa濃度が40mM付近であれば葉部の萎凋や障害を発現させずにCa含有率を著しく増加させることが認められた。塩化カルシウム処理のCa40mM区の葉部Ca含有率は1.95gkg^<-1>・新鮮重であり,この値は対照区の(0.75gkg^<-1>・新鮮重)2.6倍であった。

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© 1996 農業生産技術管理学会
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