農業生産技術管理学会誌
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培養液の窒素濃度の違いがミニトマト果実の発育および品質に及ぼす影響
早田 保義井上 興一近藤 悟桧垣 慶史
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1997 年 4 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

ロックウール耕における培養液の窒素濃度を変化させてミニトマトを栽培し,窒素濃度の違いがミニトマト果実の収量,品質に及ぼす影響について,特に果実糖度との関係について調査した。1.果実の生体重量は窒素濃度処理間における差は認められなかったが,収穫が進むにつれ果実重量は全ての処理区で減少し,小果となる傾向を示した。2.収穫率は,収穫中期に1/4倍区で60%に達したが,2倍区では29%であり,低窒素区で果実の収穫期が早まる傾向を示した。3.果実糖度は収穫中期までは各処理区間に大きな差はなかったが,収穫後期の低窒素処理1/2倍区の糖度がもっとも高い値となった。果実の酸含量は,収穫後期に,低濃度区で低下した。その結果,糖酸比は低濃度区の果実が著しく高まった。4.果実の窒素含量は,低窒素区が標準区及び2倍区に比べて低下した。特に,糖度が明らかに増加した1/2倍区の果実窒素含量が最も低い値となった。5.葉部の窒素含量は,上位葉では窒素濃度処理による差は認められなかった。一方,下位葉では標準区及び2倍区では一定の値であったが,低窒素区では著しく減少した。6.窒素濃度処理期間中における各処理区の培養液窒素濃度の変化は,標準区及び2倍区では比較的安定した値であったが,低窒素区では処理期間中を通じて徐々に減少し続け,高濃度区のおよそ1/5倍となった。

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© 1997 農業生産技術管理学会
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