農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
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収穫期の温州ミカンの果実における可溶性固形物と酸含量の部位による違い
文 斗敬水谷 房雄ルット キプコリオニーL.
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2002 年 9 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

収穫期における興津早生果実を用いて果実の部位別に可溶性固形物,糖及び酸含量を調べた.可溶性固形物と糖質(果糖,ブドウ糖及びショ糖)は果梗部から果頂部に向かって,また,果心部から果皮部に向かって増加した.果実の部位別のショ糖含量はヘキソースより高かった.ショ糖/ヘキソースの比は赤道部の中央部で最も低かった.酸含量は赤道部が果梗部,果頂部に比べて高かった.また,酸含量は果皮部で最も低く,果心部と中央部では差がなかった.甘味比(可溶性固形物/酸含量)は果頂部>果梗部>赤道部の順で高かった.果実の可溶性固形物と酸含量が高いほど,それぞれ果頂部と果梗部,赤道部と果頂部の含量差が大きかった.部位別の可溶性固形物,酸含量,甘味比とそれぞれの平均値の間の回帰係数は赤道部で比較的高かった.以上の結果より,近赤外線を用いた非破壊センサーによる果実の品質評価は赤道部で行うのが適していると考えられる.

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© 2002 農業生産技術管理学会
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