農業生産技術管理学会誌
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中国における籾天日乾燥の適正条件に関する研究 : 四川省を対象として
徐 潤後藤 清和前澤 重禮三輪 精博
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2002 年 9 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

中国において大半の収穫籾は天日乾燥がなされている.ところが適当な乾燥条件が明らかでないため,大量の胴割れが発生することが多く,大きな穀物損失につながっている.そこで,次に示す乾燥条件の影響が検討できる実験区を設定し,4つの品種の籾について乾燥特性を検討した.i)籾層厚さ,ii)乾燥中の攪拌回数,iii)地面状態(コンクリートか圃場か),iv)過乾燥,v)遮光.乾燥実験は晴れた日に行い,乾燥の能率と胴割れ率の両面から適正な乾燥条件を考察した.乾燥速度に大きな影響を与えるのは籾層の厚さである.9月の気象条件では,胴割れを抑制しつつ,4日以内に作業が完了するための乾燥速度を得るためには,層厚さ5cm程度が適当であった.攪拌回数が多いと蒸発水分量が大きくなり,しかも胴割れ率が低くなる.つまり,攪拌作業は天日乾燥において,能率と品質を確保するための有効な工程である.その他の各条件を検討し,次の結果を得た.i)地面状態としてできる限りコンクリート面を使用すること.ii)正確な水分計を導入し乾燥中の籾水分の管理に努め,過乾燥を避けること.iii)日射量が大きい場合,胴割れを減ずるための遮光は乾燥能率の面から不要と判断された.以上に述べた乾燥条件により,収穫後の穀物損失はかなり減少できるものと期待される.今後は,立毛中における胴割れの発生や日射量が変化した場合の籾層の厚さと乾燥速度および胴割れ率の関係を中心に実験を加え,気象条件による適正な乾燥条件を求める方法を考察する予定である.

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© 2002 農業生産技術管理学会
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