本研究によると,中国におけるコーポレート・ガバナンスの発展過程としての歴史区分は,大きく,初期,中期,後期に分けられる。その全過程を通して言えることは,それまでの計画経済の方法を基盤とした国家の影響力がコーポレート・ガバナンスの中に強く残存していたが,その影響力が次第に減少していることである。影響力減少の契機は,WTO加盟前後の国際化に向けた中国政府の努力であると考えられる。この影響力減少の時期を,本研究では,新会社法が施行された「後期」ととらえている。けれども,今日なお,国家の影響力がコーポレート・ガバナンスから完全には払拭し切れていない点を指摘できる。これが,今後の中国におけるコーポレート・ガバナンスの課題である。