2016 年 23 巻 1 号 p. 138-144
組織にとって必要な知識や技術は,めまぐるしく移り変わり,市場の多様化・成熟化により,組織内に有する既存の知識や技術だけでは市場に適応することが困難となっている.こうした状況に対処するために,他組織と連携し相互に学習することによって,源泉の異なる幅広い分野に散在する知識や技術を獲得し組み合わせ,環境に適応することも可能となる.また,組織学習を行わないという選択が可能となるのも連携の恩恵でもある.連携は組織間関係のひとつの形態であって,現代社会を取り巻く環境の変化に対応する戦略の有力な手立てである.連携は単独の組織のみでは達成が困難な新たな価値とその創造プロセスであり,環境に適応するための戦略的価値の創造となることを考察する.