2016 年 23 巻 1 号 p. 41-46
本研究の目的は,先行需要情報をもつ多段階生産在庫システムの性能を解析することである.対象とするシステムは,ジャストインタイム(JIT)納入を要求する顧客オーダーおよび早期納入が望ましい顧客オーダーを有し,なお基点在庫方式とかんばん方式を統合する制御方式を採用する.具体的には,需要リードタイム,JIT 納入比率,早期納入水準がシステムに与える影響,およびこれらの要因間における交互作用を,平均総費用を用いて評価する.結論として,本研究におけるシミュレーション実験の条件下で,需要リードタイムの増加により,費用低減の効果が認められる.そして,JIT 納入比率と早期納入水準がシステムに与える影響が複雑であり,なおこの2 つの要因間にトレードオフの関係が存在することがわかる.