研究論文
成人肥満へのトラッキング現象に関する労働衛生学的アプローチ
2016 年 23 巻 1 号 p. 77-82
詳細
2016 年 23 巻 1 号 p. 77-82
近年，子どもの肥満が成人へトラッキングするリスクが非常に高いことが予防医学の立場から報告されている．企業に従事している者にとって肥満を回避することは，疾病のリスクを軽減するとともに，企業生産性の効率を高める基礎的な健康マネジメントである．しかし，学齢期ではBMI は増大傾向を示すために，この時期での評価が確立されていない．そこで，本研究はBMI の加齢変化をウェーブレット補間法によって解析し，学齢期における標準BMI 加齢変化曲線評価チャートを構築し，肥満を判別し，ここで構築された肥痩度判定の妥当性および判定された肥満タイプの身体発育を検証し，子どもの肥満が成人へトラッキングするパターンを労働衛生学的立場から検討する．導かれた標準加齢変化曲線から肥痩度判定チャートを構築し，肥満タイプを判別し，その出現率を小学1 年から中学3 年まで縦断的に検討し，BMI の加齢評価チャートが肥満判定として妥当かどうか検討する．さらに，肥満のトラッキング状態を検討し，企業従業員の肥満リスクのマネジメントを模索する．
