2016 年 23 巻 1 号 p. 89-94
企業にとって生産性を向上させるためには,従業員が健康に働くことが不可欠である.しかしながら,中高年期に骨密度が低下することで,骨折者数が増加すると言われ,骨折することで入院,通院,リハビリ等が強いられる.このことは生産性の低下に直結すると考えられる.そこで,骨折のリスクを最低限に抑えるには,幼少期から骨密度をより高く獲得するための取り組みが重要である.そのためには,日本人小児の身体組成や骨密度に関する詳細な情報が必要であるが,幼児期における骨密度の加齢変化を扱った研究はほとんどない.そこで本研究は,幼児を被曝させずに大きなリスクを伴わないためのstiffness 値を使用した骨評価値を適用し,3 歳児から5 歳児の加齢変化を検証する.また,コーホート手法に基づく集団的データを構成することにより,幼児期における骨密度の測定の画一的な確立を模索するとともに,加齢変化に基づく骨密度評価の構築を試み,その妥当性を検討する.そして,企業戦士としての身体的資質をマネジメントし,生産性を高めるための知見を模索する.