2016 年 23 巻 2 号 p. 67-72
わが国の情報サービス産業は,「SIサービス」と「ソフトウェア開発」業務とで売上高の6割以上を占めるという受注開発中心型の構造を持っている.また,その企業形態は資本関係にもとづいて,特定企業の資本系列下にある企業群(非独立系)と特定の親会社を持たない企業群(独立系)の2つに大きく区分される.本研究では,その2区分などに注目しながら,国内情報サービス産業の生存時間分析を行うものである.そのために,複数年度の『情報サービス企業台帳』を用いて335社の生存率の観察を行った.その分析結果から,情報サービス企業の生存率に資本系列の違いが関係しているとはいえないことがわかった.しかしその一方で,主要取引先に対する売上高比率の低い企業ほど生存率が有意に高くなる傾向が存在することが明らかになった.