2017 年 24 巻 1 号 p. 45-50
長野県白馬村は,1998年冬季長野オリンピックの会場となった.しかし,1990年代に入ってからは観光客,特にスキー客の減少が顕著であり,オリンピック後,観光地としての在り方について村の観光関係者が検討を重ねた.数々の対応策の中の1つが観光振興組織の役割変更と組織体制の強化であり,2005年に法人格を取得することで一応の解決を見た.そこで,法人化によって,組織体制のうち財務面での強化が図られたのか,企業の財務分析指標を用いて,同村の観光振興組織の財務面での健全性を検証した.その結果,固定負債がないため安全性は高く,取引収益性も第8期(2011年度)を境にそれ以前より向上しているものの,資本収益性は低下していることが明らかになった.