生産管理
Online ISSN : 2186-6120
Print ISSN : 1341-528X
研究論文Ⓡ
生産座席システムにおける座席枠設定への階層分析法の適用
―プラスチックワイヤ製造工程への適用事例―
林 千宏
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 30 巻 1 号 p. 31-40

詳細
抄録

本論文は,生産座席システムを用いたプラスチックワイヤ製造工程を対象に,座席枠設定において階層分析法を用いることで,品切れや在庫,段取替え作業負荷及び空席(遊休)という評価指標をできるだけ低く抑える管理パラメータ(能力余力・基準在庫・ロットサイズ)をより定量的かつ客観的に設定する方法を提案し,その適用によって改善効果が得られた事例を報告する.生産座席システムとは,予め生産能力を計画的に用意して新幹線の座席指定の様にスケジューリングを行うシステムであり,座席枠設定はどの程度の生産能力を設けるかを意思決定する生産計画の一部である.対象工程の座席枠は管理パラメータを用いて設定しているが,そのパラメータ値の設定において,在庫や空席などの製造上の利便性に重きを置いた計画立案者の経験則に基づく恣意性が課題とされていた.そこで本論文では,まず生産座席システムについて説明し,次に対象工程の概要と生産計画の詳細について説明する.更に階層分析法を適用した座席枠設定方法について提案し,最後に改善結果が得られた適用事例を報告する.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本生産管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top