2012 年 64 巻 5 号 p. 807-810
水素分子はX1Σg+→E1Σg+状態間の2光子励起に伴うE1Σg+→B1Σu+ 間の遷移の際に蛍光を発する.これらの状態間遷移を利用したレーザー誘起蛍光法(LIF)によりHD分子について回転分光を試みた.パラジウム膜にH2, D2を透過させることでHD分子を含む水素混合ガス(含有比H2 : HD : D2 ~ 3 : 4 : 3)を作成し,これに紫外光レーザーを波長201.400nm~202.000nmで変化させながら照射することでLIFスペクトルを測定した.電子・振動・回転定数を用いたH2, HD, D2分子の2光子励起波長の計算結果との比較により実験で得られた12本のLIFピークの帰属を明らかにし,HDの回転分光に成功した.[本要旨はPDFには含まれない]