抄録
我が国の海岸保全施設は,高度経済成長期に集中して整備され,近年では,それらの構造物における劣化の顕在化が問題となっている.しかしながら,海岸保全施設の堤防や護岸は長大である場合が多く,調査や点検に多大な時間と労力が必要となるため,調査の簡略化が求められている.本研究では,護岸あるいは防波堤の胸壁に発生する鉛直ひび割れに着目し,詳細な現地調査を行った.調査結果に基づいて統計解析を行い,少数ひび割れのサンプリング調査から施設全体におけるひび割れ幅の最大値を推定する手法を提案し,その妥当性を検証した.