2014 年 66 巻 2 号 p. 147-154
これまでの注意喚起と全く発想を異にする革新的な路面表示‘オプティカルドットシステム’(ODS)は2006年,首都高での新しい安全対策を探るシークエンスデザインプロジェクトを通じて考案された.2008年2月,首都高本線埼玉大宮線美女木JCT付近下り本線の上下勾配区間にて試験的に運用開始された.本稿では,その開発経過と4年間の実証結果を報告する.ODSは,首都高の本線のうち,ジャンクションの上を通る縦断勾配のある2車線道路で,かつ速度超過交通が6割を超える区間に設置された.設置直後の減速効果は,下り勾配において,夜間の高速車で観察され,高速域(毎時100-120km)から中速域(毎時80-100km)へ約20%のシフトを示した.並行して東京大学の実験室において被験者実験を行った.高速道路のバーチャルリアリティ環境でドライビングシミュレータにより,ODSのドライバーの知覚や行動に対しての直接の視覚的影響を評価した.その結果は,運転はODSによって制御されるという仮設を支持した.また,ODSの本線設置の4年後,私たちは6年間(設置前の2年間のデータを含む)の通行車輌の実勢速度について分布や推移を確認するために,本線現地に設置された車輌感知器によるデータを収集し分析した.その結果,減速傾向が4年間を通して維持され,さらに制御効果の経年による減退傾向は認められず,持続的安定を示す結果が出た.ODSの持続的長期的な有効性が実証された.