2014 年 66 巻 3 号 p. 299-303
脳波力学系のダイナミカルノイズは,神経ネットワークの動的な振る舞いを理解する上で重要な情報である.本研究では,脳波力学系のダイナミカルノイズレベルの時間的変化を解析した.視覚野上の電極から得られた脳波データをダイナミカルノイズの時間的レベル変化に変換し,さらに,そのレベル変化をHurst指数により定量化した.結果として,開眼時にはHurst指数は徐々に低下し,閉眼時にはほぼ一定値を示した.つまり,開眼時における神経ネットワークの時間変化は過渡的な状態にあり,一方,閉眼時の神経ネットワークの時間変化は定常状態にあると考えられる.