抄録
建築は気候から多大な影響を受け,現在は地球温暖化といった気候変動が進行している.建築分野では気候に適した設計を行うために,気温や日射などの気象データを用いた熱負荷計算が行われる.現在の熱負荷計算では,各地域の過去の観測値を基にして作成された気象データを使用することが一般的である.しかしながら,建築物は長期にわたり使用され,その間に気候は変化する.現在から将来の気候へ適応し,建築のライフサイクルにわたる省エネを実現する建築設計にとって気候変動を考慮した熱負荷計算が必要である.そこで本研究では,全球気候モデルにより予測される将来気象データを領域気象モデルによって力学的にダウンスケーリングし,建築熱負荷計算のための近未来気象データを作成する.