生産研究
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研究解説
創薬への利用を目指したiPS細胞の肝分化・成熟化手法の現状と課題
木村 圭一堀口 一樹木戸 丈友宮島 篤酒井 康行
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2016 年 68 巻 3 号 p. 195-199

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抄録
肝臓は薬物の代謝において重要な役割を果たしており,培養ヒト肝細胞を用いたin vitro 試験は,創薬スクリーニングで最も重要なもののひとつ である.一方で,研究用に提供される正常かつ成熟な肝細胞は慢性的に不足しており,iPS 細胞から分化誘導により得られた肝細胞は,高価かつ倫理上問題のある初代肝細胞を代替するという期待が持たれている.しかしながら,現状のiPS 細胞由来肝細胞はヒトの正常な成熟肝細胞と比較すると機能が著しく低く,実用に耐えない.そこで本稿ではiPS 細胞の肝細胞分化誘導法の到達点を概観するとともに,得られた肝細胞の更なる成熟化のための新たな手法について解説を行う.
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© 2016 東京大学生産技術研究所
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