2016 年 68 巻 3 号 p. 271-274
近年,力学系理論を用いて複雑システムの急激な転移の予兆を事前に検出する動的ネットワークマーカー(Dynamical Network Marker: DNM)の手法が発展しつつある.本研究では,複雑ネットワーク構造を持つ数理モデルを構築してその有効性の解析を行った.これに際して,転移の予兆として従来考えられていた性質の一部は,現実的には多くの場合成立しないことを指摘し,手法の修正を行った.数値解析の結果,システムの性質に応じてDNM を適切に選ぶことで,幅広いシステムにおいて転移の予兆検出が可能であることが示唆された.