2017 年 69 巻 3 号 p. 107-113
バイオ・半導体材料・絶縁材料に関する工学応用の観点から有機材料中の電荷輸送特性の把握と制御はますますその重要性を増している.しかしながら,生体分子あるいは有機高分子材料は分子が大きく複雑な高次構造を有することから電荷輸送現象の解析は容易でない.本論文ではポリエチレン材料におけるモルフォロジーと正孔移動度の関係をその場しのぎのパラメータを用いることなく評価した.計算されたポリエチレンの結晶・非晶領域の正孔移動度は実験値と良好に一致し,高分子のモルフォロジーの差異による電荷輸送特性への影響が定量的に評価された.