2017 年 69 巻 4 号 p. 211-214
2013 年11 月にフィリピン諸島を襲った台風ハイヤンは甚大な被害をもたらし,膨大な住宅ニーズが生じた.それに対して,国内外の政府・非政府組織など多くの外部組織が様々な手法で住宅供給を行った.その手法には資金を提供する「ドナー主導型」,供給された住宅を使う「オーナー主導型」,住宅を建設する「コントラクター主導型」等があるが,国連ハビタットはPeople’s Process と呼ばれるオーナー主導の住民参加型プロセスを用いて被災地での住宅再建を実施した.本稿では,参加型アプローチの効果的な事例の一つとしてPeople’s Process のメカニズムとプロセスを説明し,フィリピンという固有の地域環境において,どのようにこの参加型アプローチがカスタマイズされたのか,その成功要因を分析した.