2019 年 71 巻 4 号 p. 797-798
フタロシアニン錯体(MPc)と蛋白質の複合化は,MPc の生体適合性の向上等の観点から,生体内におけるMPc 機能化に有用である.本研究では,効果的な光線力学的療法(PDT)用光増感剤の開発を志向し,PDT 用光増感剤として有用であるMPc (M = Si(OH)2, Zn, Si(OTHS)2)と,ヒト血清アルブミン(HSA)多量体を複合化し,それら光物性を調査した. 嵩高い軸配位子を有するSi(OTHS)2Pc では,単量体的性質を保持しながらHSA 六量体との複合化に成功し,蛍光(量子収率26%)と一重項酸素由来の発光(量子収率11%)が検出された.これより,EPR 効果が期待できるPDT 用光増感剤の合成に成功した.