2020 年 72 巻 4 号 p. 283-287
2019 年7 月,東京都葛飾区から「浸水対応型市街地構想」1)が公表された.この構想は,東京の海抜ゼロメートル地帯の広域高密市街地での大規模水害への備えという意味だけではなく,気候変動への市街地の適応という意味でも画期的な構想である.著者らのグループは,2004 年頃から民・学・官が協働した大規模水害に備えるまちづくり活動をすすめ,「広域ゼロメートル市街地」における大規模水害への備え,気候変動への適応について議論を重ねてきた.本稿では,葛飾区構想のもととなった考え方を解説するとともに,その実現に向けた課題を列挙する.