生産研究
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論説
音楽と工学の美的なかかわり方を考える
岡田 暁生
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2021 年 73 巻 4 号 p. 225-226

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抄録

文理融合が叫ばれるようになって既に半世紀近くたつが、この間の学問状況は文系と理系の亀裂の深さを逆に示すことになってしまったといって過言ではない。文と理の分裂とはすなわち現代人における「実感的世界観(文)」と「抽象的世界観(理)」の分裂である。この分断の修復のために、芸術が果たせる役割は大きい。芸術は一方で科学や工学に非常に近く、しかし他方で人間の実感的世界の表現でもある。近代においてArt という言葉はもっぱら「Fine art」を指すようになったが、本来は「Craft art」の意味、つまり「技術」の意味であった。芸術の発想を通して文と芸を結びつけることは今日の学問界の喫緊の課題である。

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© 2021 東京大学生産技術研究所
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