2021 年 73 巻 4 号 p. 275-280
膜天井への改修が公共ホールや水泳場,体育館などの建物で行われている.開閉式膜天井を用いることで,室内の温熱性能を容易に調整することが可能となる.本研究では,開閉式膜天井を有する水泳場と住宅の定量的な熱性能に着目している.水泳場において,開閉式膜天井による温熱環境の改善効果を検証した.日間及び年間の計測結果から,天井上下の温度差は空調と日射量に依存することが分かった.水泳場内外の温度差は,室内の温熱性能を調整するには膜天井が不可欠であることを示唆している.住宅では,開閉式膜天井の上下では3.7 oC の温度差があった.床放射暖房は地面付近を温めることで,局所的な不快感を解消する.膜天井,空調,床放射暖房の組み合わせにより,快適な住環境を創れることが分かった.