2021 年 73 巻 5 号 p. 395-400
プラスチック成形品の非破壊的な内部残留応力評価法として,テラヘルツ(THz) 偏光に対する高分子の応答を利用することを提案し,その妥当性を検証した.具体的には,残留応力の異なるPTFE 試料を焼成プロセスにて作製し,THz 時間領域分光法を利用して吸収係数の偏光依存性を評価した.評価実験の結果,低残留応力のPTFE 試料は偏光依存性をほとんど示さなかった一方,高残留応力のPTFE 試料は大きな偏光依存性を示した.加えて,これらのTHz 偏光依存性と残留応力に起因する寸法変化との間に相関関係があることを示した.本稿ではその詳細について解説する.