日本生態学会誌
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総説
減圧チャンバー法を用いた葉の通水コンダクタンスの測定
原山 尚徳上村 章石田 厚
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2009 年 59 巻 1 号 p. 29-38

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抄録

植物体の通水性は葉のガス交換に影響を及ぼす重要な要因の一つである。植物体内の通水経路は、根・茎・葉に大別される。近年、葉の通水性が葉のガス交換特性を決める重要な生理生態特性として注目を集めるようになってきている。しかしながら、日本では葉の通水性の測定はまだ一般的ではない。本稿では、葉の通水コンダクタンスを測定する代表的な方法の一つである減圧チャンバー法(vacuum chamber method)について、その測定原理や測定方法を説明し、実測例を交えながら方法のレビューを行う。この方法は、葉の通水性を測定する他の方法に比べて若干測定に時間を要するが、比較的簡単に信頼性の高いデータを得ることが出来る。また、キャビテーションを生じている葉の測定にも向いている。本稿によって、今後日本で葉の通水性のデータが蓄積され、この分野が飛躍的に発展することが期待される。

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© 2009 一般社団法人 日本生態学会
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