日本生態学会誌
Online ISSN : 2424-127X
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宮地賞受賞総説
  • 入江 貴博
    原稿種別: 宮地賞受賞総説
    68 巻 (2018) 1 号 p. 1-15
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    表現型の種内変異に対する研究者の興味は、生態学はもとより分類学・遺伝学・進化生物学といったマクロ生物学の発展と常に共にあった。本稿では、特に海産腹足類を対象とした研究に焦点を絞り、1930年代から現在に至るまでの各時代の研究者が貝殻形態の種内変異をどのように捉え、対象種が示すパターンの理解に織り込んできたかを概説する。生物学的種概念や新体系学の提唱、集団遺伝学と総合進化説の確立といった、現代生物学像へと直結する重要な概念が次々に登場した時代にあっても、軟体動物学の種分類は主に貝殻形質の観察に基づいて進められていた。本稿の前半では、貝殻形態に著しい種内変異を示すMonetaria属のタカラガイについて、個体発生を中心とした生態的特徴を踏まえた上で、激動の1930年代ドイツにおいて進められた種分類と種内分類の内容とその思想的背景を簡単に紹介する。その上で、Ernst Mayrによって提唱された生物学的種概念に準拠する分類がなされるためには、その根拠形質の示す特徴が表現型可塑性の産物でないことが必要であり、それを確認するためには飼育実験の実施が必要であることを強調する。後半では、タマキビ(Littorina属)とチヂミボラ(Nucella属)の貝殻形態に見られる種内変異と捕食者(カニ)に対する誘導防御の関係を明らかにするべく、北米や北欧の研究者によって精力的に進められた一連の研究を振り返る。これらの系は、海産腹足類を対象とした飼育実験が生物現象の理解に大きく貢献した好例であり、生態学の見地からも情報の整理と再評価が必要な内容だ。最後に、野外で観測された表現型分散が問題となった場合に、それに対する寄与として遺伝(G)と環境(E)の影響を定量的に切り分けることは、分類学において生じる上述のような問題だけでなく、自然選択に対する進化的応答を考える上でも重要であることを強調したい。
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  • 巌佐 庸
    68 巻 (2018) 1 号 p. 17-18
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
原著
  • 渋谷 園実, 桐谷 圭治, 福田 健二
    68 巻 (2018) 1 号 p. 19-41
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    地表徘徊性甲虫類(オサムシ科、クビホソゴミムシ科)は環境指標生物として認知されているが、その移動分散能力を検討するうえで重要な後翅について、オサムシ亜科に属するものや一部の種以外は明らかになっていない。そこで、各種の後翅情報を蓄積するために、千葉県の里山大青田の森(2011年〜2013年)を中心に、ピットフォールトラップとマレーズ・衝突板トラップを用いて調査した。後翅の形態と後翅長に関しては72種2,925個体、体長は78種4,883個体を測定し、解剖により飛翔筋の有無を確認した。また、翅型と生息環境との関係を検討した。72種のうち、60種が長翅型、8種が短翅型、2種が翅二型、2種が翅多型を示し、無翅の種は存在しなかった。長翅型の相対後翅長(後翅長/体長)から飛翔性を検討すると、0.9以上の種はその可能性が高く、0.75以下は低いと考えられた。短翅型は、棒状短翅と均等萎縮短翅、長め短翅がみられた。これまで地表徘徊性甲虫類の翅二型については、長翅と均等萎縮短翅が混在する二型が報告されていたが、その中間の翅型が認められた。また、翅多型はほとんど報告されていなかったが、本研究では翅多型が認められた。亜科別では、後翅の短翅化が進んでいるオサムシ亜科と、後翅に様々なバリエーションがみられるナガゴミムシ亜科、飛翔性の高いマルガタゴミムシ亜科とゴモクムシ亜科、後翅先端の多型が存在したアオゴミムシ亜科と結論できた。最後に、後翅の短翅化への過程に関して以下の仮説を提案した。翅二型と翅多型に出現する短翅がすべて均等萎縮短翅か、長め短翅のみで棒状短翅は出現しなかったことから、棒状短翅を後翅短翅化の最終点と考えた。
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学術情報
  • 海部 健三, 水産庁, 環境省自然環境局野生生物課, 望岡 典隆, パルシステム生活協同組合連合会, 山岡 未季, 黒田 啓行, 吉田 丈人
    原稿種別: 学術情報
    68 巻 (2018) 1 号 p. 43-57
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    古来より人間は、ニホンウナギから多様な生態系サービスを享受してきたが、国内漁獲量は1961年の約3,400トンをピークに、2015年の70トンまで大きく減少し、2013年には環境省が、2014年には国際自然保護連合(IUCN)が、本種を絶滅危惧IB類およびEndangeredに区分した。本稿は、今後の研究や活動の方向性を議論するための情報を提供することを目的として、現在我が国で行われているニホンウナギの保全と持続的利用に向けた取り組みと課題を整理した。水産庁は、放流と河川生息環境の改善、国内外の資源管理、生態・資源に関する調査の強化等を進めている。環境省は、2ヵ年に渡る現地調査を行なったうえで、2017年3月に「ニホンウナギの生息地保全の考え方」を公表した。民間企業でも、一個体をより大きく育てることで消費される個体数を減少させるとともに、持続的利用を目指す調査研究や取り組みに対して寄付を行う活動が始まっている。しかし、web検索を利用して国内の保全と持続的利用を目指す取り組みを整理すると、その多くは漁業法に基づく放流や漁業調整規則、シンポジウムなどを通じた情報共有であり、生息環境の保全や回復を目的とした実質的な取り組み件数は限られていた。漁業管理を通じた資源管理を考えた場合、本種の資源評価に利用可能なデータは限られており、現時点ではMSY(最大持続生産量)の推定は難しい。満足な資源評価が得られるまでは、現状に合わせて、限られた情報に基づいた漁獲制御ルールを用いるなど、適切な評価や管理の手法を選択することが重要である。本種の生息場所として重要な淡水生態系は劣化が著しく、その保全と回復はニホンウナギに限らず他の生物にとっても重要である。ニホンウナギは水域生態系のアンブレラ種など指標種としての特徴を備えている可能性があり、生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)の促進など、水辺の生物多様性の保全と回復を推進する役割が期待される。
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生態教育の今と未来(1)
野外研究サイトから(36)
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