日本生態学会誌
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特集:菌類・植食者との相互作用が作り出す森林の種多様性
Janzen-Connellモデルの成立要因の検討(<特集>菌類・植食者との相互作用が作り出す森林の種多様性)
今埜 実希清和 研二
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2011 年 61 巻 3 号 p. 319-328

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抄録

Janzen-Connell(J-C)モデルは、森林の種多様性を説明するモデルの一つで、「群集内の多くの樹種において種特異的な天敵が密度依存的な死亡を引き起こすことによりそれらの共存が促進される」というものである。このモデルは熱帯を中心として検証されてきたが、近年では温帯でも検証が始まってきており、多くの実証例が報告されている。しかし、J-Cモデルの検証は単一樹種や種子・実生段階のみで行われたものが多く、さらに天敵の種特異性について検証した例は極めて少ない。本論では、(1)一つの林分に共存する複数種で同時にJ-Cモデルが成立するか、(2)病原菌や植食者に種特異性はあるのか、あるとすればどの程度か、(3)J-C効果はどの位の生活史段階まで持続するのか、について、実証例を挙げながら紹介し、J-Cモデルの成立要因について議論する。

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© 2011 一般社団法人 日本生態学会
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