日本生態学会誌
Online ISSN : 2424-127X
Print ISSN : 0021-5007
総説
木材生産と生物多様性保全に配慮した保残伐施業による森林管理
―保残伐施業の概要と日本への適用―
尾崎 研一明石 信廣雲野 明佐藤 重穂佐山 勝彦長坂 晶子長坂 有山田 健四山浦 悠一
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 68 巻 2 号 p. 101-123

詳細
抄録

森林は人間活動に欠かすことのできない様々な生態系サービスを供給しているため、その環境的、経済的、文化的価値を存続させる森林管理アプローチが必要である。保残伐施業(retention forestry)は、主伐時に生立木や枯死木、森林パッチ等を維持することで伐採の影響を緩和し、木材生産と生物多様性保全の両立をめざす森林管理法である。従来の伐採が収穫するものに重点を置いていたのに対して、保残伐は伐採後に残すものを第一に考える点と、それらを長期間、少なくとも次の主伐まで維持する点に違いがある。保残伐は、皆伐に代わる伐採方法として主に北アメリカやヨーロッパの温帯林、北方林で広く実施されているが、日本を始めとしたアジア諸国では普及しておらず、人工林への適用例もほとんどない。そこで、日本で保残伐施業を普及させることを目的として、保残伐施業の目的、方法、歴史と世界的な実施状況を要約した。次に、保残伐の効果を検証するために行われている野外実験をレビューし、保残伐に関する研究動向を生物多様性、木材生産性、水土保全分野についてとりまとめた。そして、2013年から北海道で行っている「トドマツ人工林における保残伐施業の実証実験(REFRESH)」について紹介した。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本生態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top