12-タングストリン酸セシウム-鉄塩の酸性質評価

抄録

対イオンにCs⁺とFe³⁺の両方を含む12-タングストリン酸Cs-Fe塩を合成し、その酸性質を調べた。NH₃-TPDから、塩に含まれるFe³⁺が酸点を形成していることが確かめられた。また、吸着ピリジンIRにはLewis酸点とBrønsted酸点の両方の吸収バンドが観測された。Cs⁺は酸点を形成しないことから、Fe³⁺が両方の酸点を形成していることが分かった。含水量と酸性質の関係から、Fe³⁺に強く配位した水分子が、Brønsted酸点を形成していると推測した。